2021年3月24日更新
無料配信中「SCIPデータベースとは」解説【日本語】
【SCIPデータベース】EUで高懸念物質(SVHC)含有製品の情報提供を義務化
欧州化学品庁(ECHA)は、EU域において2021年1月5日より、REACH規則で定める高懸念物質(SVHC)を0.1 wt%を超えて含む成形品を上市する企業に対し、当該成形品に含まれるSVHC関連情報をSCIP{Substances of Concern In articles as such or in complex objects (Products)}という情報データベースへ提出する義務を課す予定です。
SCIPデータベースは、2018年6月に改正された廃棄物枠組み指令(WFD: Waste Framework Directive)に基づいて構築されたもので、これにより製品及び材料中の有害物質の追跡管理が廃棄段階を含むライフサイクル全体で可能となる計画です。また、SCIPによる有害物質情報の透明性向上は、消費者が製品を購入する際に十分な情報に基づいた選択を行うのに役立ち、更にはそのような製品の安全な使用方法や正しい廃棄方法に関する情報収集と提供に寄与します。上記に想定される動きにより、製造品中の現用有害物質の代替が促進されることも同時に期待されています。
情報提出義務の対象者は当該成形品を供給するEU域内の製造・輸入・流通業者等であり、消費者に直接商品を供給する小売業及びその他のサプライチェーン従事者は、情報提出の対象外となります。なお、EU域外の供給者は、EU域内輸入者にSCIPの届出に必要な情報を提供する必要があります。そして、企業がSCIPデータベースへ提出する情報としては、以下のようなものがECHAから公表されています。
成形品の特定情報
・識別子(製品コード)
・名前(モデル、タイプ、etc)
・製品カテゴリ(CNコード)など
成形品中のSVHCの情報
・使用されているSVHCの名称
・SVHCの使用部位
・SVHCの濃度
その他、安全な使用に関する情報など
本制度を来年1月からスムーズに開始するために、ECHAは既にSCIPデータベースの試用版を2020年2月に公開をしています。試用版による企業の試用とフィードバック・改善を経て、2020年10月頃にSCIPデータベースの公式バージョンがリリースされる予定となっています。