2020年9月22日、中国の習近平国家主席は、「わが国のCO2排出を、2030年前にピークに到達させ、2060年前にカーボンニュートラルを実現するよう最大限に努力する。」と表明しました。そして、2020年12月、中国中央経済作業会議において、2021年の主要課題の1つに「炭素排出のピークアウト」と「カーボンニュートラル」の達成に成功することを挙げ、行動計画の迅速な策定を掲げました。
表 本コラムに登場する用語の簡易説明
「炭素排出のピークアウト」および「カーボンニュートラル」とは?
炭素排出のピークアウトとは、国内の炭素排出量が2030年までの”ある年”に過去最大値に達した後、その後着実に減少へ転じさせることを指します。
また、カーボンニュートラルとは、何かを生産したり、それに関わる一連の活動によって《排出される二酸化炭素》と《吸収される二酸化炭素》が同量という概念ですが、企業が排出量の大幅な削減に基づいた上で、炭素の分離、回収、再利用、貯蔵を通じて排出分を相殺(オフセット)し、差し引きトータルで「排出量ゼロ」を達成することを指します。
なお、ここでいう炭素排出量は、実際には「炭素」ではなく、温室効果ガスの排出量を指します。温室効果ガスには様々な種類がありますが、管理が必要な温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)および三フッ化窒素(NF3)の7カテゴリーの人為的排出物になります。
目標達成のため、企業としてどのような行動をすればよいか?
企業の行動として、3つのステップが考えられます。
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基準年を選択し、その年の温室効果ガス排出量を計算。これを年間排出量のベンチマークとする。
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状況に応じて、排出削減対策とオフセット対策を実施する。
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排出量と削減・オフセット量を毎年計算して、実施状況を監視する。