FCM(Food Contact Materials)と呼ばれる食品と接触する材料及び製品(包装材、容器、食器、調理器具など)には、食品との接触に際して材料や製品由来の有害物質が食品へ移る可能性があります。そのため、欧米やその他の多くの国々で規制されているように、中国でも食品安全法に定める国家標準管理弁法に基づいてマーケットの監督が行われています。FCMの品質と安全性を確保し、人々の健康を守るため、中国の国家衛生計画生育委員会(現在は国家衛生健康委員会)は、2016年にFCMに関する食品安全国家標準を大規模に刷新しました。表1にFCMに関する中国標準規格の一部を紹介します。これらは強制国家標準であり、中国市場において標準への適合は義務となります。国家市場監督管理総局(SAMR: State Administration for Market regulation)並びに各省市の市場監督局は、毎年のように抜取検査を実施しています。簡単ですが、2021年度の抜取検査結果を下記後段にまとめます。
中国標準規格のプラットフォーム“GBの森” https://gbnomori.com/をご利用ください。
表 中国の食品接触材料及び製品に関わる標準規格の一部
2021年、SAMRは、合計1170社の企業が生産した1172ロットの製品に対して市場抜取検査を実施しました。メラミン樹脂食器、工業/商用電熱食品加工機器、工業/商用電動食品加工機器などの製品を含む、5つのカテゴリ(樹脂製品、紙製品、金属・塗料製品、洗剤、竹木製品)を対象として検査が実施されました。結論として、全体の不適合率は5.4%でした。内訳は、1172ロットの内、5ロットの製品は生産・営業許可範囲に対する違反の疑い、そして残りの1167ロットの内、59ロットの製品に標準規格に対する不適合が認められました。樹脂(プラスチック)は、とても一般的に使用されるFCMであり、長年に渡って重点検査対象に指定されています。2021年の抜取では、総サンプル量の50.8%に当たる計593ロットの樹脂製品が検査を受けました。不適合とされた主な原因は、多くが有害物質の総移行量や溶媒残留総量の基準値超過でした。また、5つのカテゴリの中でも最も不適合率が高かったのは金属・塗料製品で25.7%でした。このカテゴリで不適合となった製品の大半は工業/商用の電熱食品加工機器或いは電動食品加工機器であり、主な原因は安全要求に対する不適合でした。次いで不合格率が高かったのが紙製品で、不適合率は6.8%でした。主な原因は官能指標や理化学的指標の要件に適合しないことでした。