中国におけるアスベストの規制状況

先日、中国製の珪藻土マットから石綿(アスベスト)が検出され、消費者製品市場に懸念が広っています。アスベストとは、天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称であり、蛇紋石系のクリソタイル(白石綿)と角閃石系のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種類があります。これらは工業的には、主に断熱材、耐火材、ブレーキ装置、シーリングガスケット、電気絶縁材、防食材、吸水・吸湿、遮音材などの材料(製品)に利用されています。アスベストは自然由来の物質であるため、工業的に利用されるタルク等の天然鉱物の中に不純物として混入している恐れもあり、化粧品業界等でもその含有リスクが注視されています。

アスベストの主な危険性は、微細なアスベスト繊維の吸引による肺などへのダメージです。大量に吸い込んだ場合、間質性肺炎を引き起こし、肺がんや中皮腫(肺の内膜や下部消化管のがん)、石綿肺(肺の慢性繊維症)などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。そのため、WHOは2017年にアスベストを発がん物質のカテゴリーに分類し、これに応じて、多くの国々が消費者製品でのアスベスト使用を禁止する法律を制定しました

日本では、労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストについては、厚生労働省労働基準局長通達(2006(平成18)年8月11日基発第0811002号)において、「繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト」と定義し、アスベスト含有建材の判定基準値をアスベスト含有量『0.1重量%』としています。同様に、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に使用される原料タルク中のアスベスト基準値も『0.1重量%』と設定をされています。

 

では中国におけるアスベストの規制状況ですが…

建築資材や消費者製品へのアスベストの使用を全面的には禁止していませんが、職業病や危険固体廃棄物の発生源として管理されており、アスベストの使用者は、地域の安全監督、健康、環境、その他部門の関連規制に注意を払う必要があります。下記1~3は、中国の消費財及び建築資材分野におけるアスベスト規制に関する法規情報です。

 

  1. 特定の製品基準(標準)の中では、アスベストが含まれる原材料の使用を禁止しています。例えば、GB 12676-2014「商用车辆和挂车制动系统技术要求及试验方法」では、商用車とトレーラーのブレーキライニング(摩擦材)にアスベストを含まないように要求しています。また、GB 50574-2020「墙体材料应用统一技术规范」では、建築設計にアスベスト繊維を含む壁材を使用しないように要求しています。更に、GB 6675.1「玩具安全」では、玩具製品中の化学物質が人間の健康に悪影響を与えないように要求しており(1986年版の玩具規格では、明確にアスベスト含有材料を玩具に使用しないように要求しています)、GB 19865-2005「电玩具的安全」ではアスベスト不含有の要求があります。

 

  1. アスベストを含有する製品の生産ラインは产业结整指産業構造調整ガイダンスリスト》」にリストアップされており、そのようなラインは代替または停止することを要求されています。 2019年版ガイダンスによると、角閃石系アスベストの建築材料、アスベストを含むクラッチフェーシング・汽車の合成ブレーキライニング、アスベスト含有の湿式クラッチフェーシングは、すべて「削除類」-「後進製品」の分類にリストアップあれ、生産停止を要求」されています。

 

  1. 2020年11月19日に発行されたGB/T39498-2020「消品中重点化学物使用控制指南《消費品中の主要化学物質の使用に関するガイドライン》」によれば、次の6種類のアスベスト繊維またはそのような繊維の意図的な添加は、消費品に使用されるべきではないとしています
  • クリソタイル(白石綿)
  • クロシドライト(青石綿)
  • アモサイト(茶石綿)
  • トレモライト
  • アンソフィライト
  • アクチノライト

現在これは推奨基準に過ぎませんが、将来の中国における消費者製品の市場監督の方向性が『アスベストの使用禁止』であることを反映していると言えそうです。

 

上記のような状況になりますが、中国に関わる生産メーカーも、日本や欧米諸国での消費者向け製品のリコール事例を参考に、クレヨン、魔法瓶及び無機鉱山補料(タルク、珪藻土など)を含む製品のアスベストの使用状況に一層の注意を払うことが望ましいと考えられます。アスベストの検査・分析方法には、以下のような規格があり、製品の出荷先国に合わせて選択をすることになります。

  1. 米国規格「NIOSH 9000及び9002」
  2. 中国規格「GB/T23263
  3. 日本規格「JIS A1481-2008」 など

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ラボノモリでは、順次ラボ情報を更新してまいります。
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ラボノモリ編集部

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